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きゅうり

きゅうりの栽培に農薬が必要な理由

きゅうりのイラスト"

水洗いをしてそのまま食べることも多いきゅうり。冷蔵庫で冷えたきゅうりをビール片手になんて最高ですよね?そんなきゅうりですが、やはり栽培には農薬がかかせません。

特にきゅうりに発生しやすい病気は、6~7月にうどんこ病、べと病、7~8月に褐斑病、炭疽病など。病気の予防策として、薬剤を予防散布するか病気が発生したら7~10日おきに薬剤が散布されます。ではもっと詳しく見ていきましょう。

きゅうりの栽培を妨げる病害虫

きゅうりが罹る病気

うどんこ病

病気が発生すると葉の表面に「うどん粉」をふりかけたような白い粉状のカビが生じます。症状が進行すると白くなった部分が黄色に変色してきます。

急な冷え込みといった気象条件や日照不足などが原因で発生するといわれいます。またやや乾燥気味で、昼夜の温度差が大きい場合やチッソ肥料の多投入なども原因のひとつ。

ドーシャスフロアブルやトリフミン水和剤などの農薬を使用することで、予防効果と治療効果に期待できます。

べと病

葉に発生する病気です。初期症状は、葉に淡黄色の小斑点ができ、次第に葉脈に区切られ角張った黄褐色の斑点に変化します。

気温が20~25℃のときに発生しやすいといわれていて、爆発的に症状が進むと葉全体が黄褐色化・乾燥し破れやすくなるのが特徴。また梅雨期や降雨が続いた際や、肥え切れ(チッソ肥料不足)なども考えられます。

農薬であるランマンフロアブルを病気が発生する前に散布することで防除可能です。

褐斑病

発症すると葉に円形で褐色の小斑点が発生し、時間ととも拡大していきます。5~8mmの不整形な円紋やモザイク状の病斑になるのが特徴。

多湿の環境では、病斑上に黒褐色のカビができます。また換気不十分やチッソ肥料過投入、種子による伝染も発生源として考えられます。

ドーシャスフロアブルという農薬を発病前に散布することで防除可能です。

きゅうりを襲う害虫

ネコブセンチュウ

きゅうりの根に寄生する虫です。寄生されると生育が不良になり、日中の高温や乾燥で萎れてしまい、葉は黄化して枯れ上がります。

被害株を引き抜くことで根にコブ(数珠状が多い)ができているのがわかるので、確認は容易です。連作や高温、乾燥条件などで発生することが多いといわれています。

また被害残渣(感染した株)の除去不十分や、農機具などの洗浄不十分(付着土壌の排除が必要)でも被害が拡大するようです。排水路の不整備(汚染土の流入)も原因のひとつ。

植え付けの前にネマトリンエース粒剤という農薬を散布することで防除できます。

オンシツコナジラミ

発生すると幼虫が葉から汁液を吸いネバネバした排泄物に「すす病」が発生し、葉や果実が黒く汚れます。成虫は約2mmで白い蝶のような形をしているのが特徴。

栽培施設の入口や、周辺部に偏って分布していることが多いのだとか。基本的に栽培施設内で繁殖する性質を持っています。

発生源は苗での持込みや成虫の侵入(雑草除去不十分)、施設での連続的作物栽培(残渣処理の不十分)が考えられるとのこと。テルスター水和剤という殺虫成分を含む農薬を散布することで防除可能です。

アブラムシ類

ワタアブラムシという種類の寄生が多く見られます。葉裏に群がって寄生し、排泄物にすす病が発生するそうです。周辺にうり類やなすなどが栽培されているときにも発生します。

同一薬剤や同系統薬剤の連続で使うと、虫に免疫力が付いて駆除できなくなる場合も。テルスター水和剤やテルスターフロアブルといった農薬をバランスよく使用して効果的に駆除できます。

ハダニ類

ナミハダニの発生が多く下葉や新芽に多く寄生します。主に葉裏に寄生し、吸汁して被害を拡大。始めは葉に白斑ができ(ルーペを使うと葉脈や葉のくぼみに0.5mmの小さなダニが見える)。

大量に発生すると葉は黄色化して下葉から落葉します。高温や乾燥条件が続くときに発生しやすく、周辺に放任作物があるときも要注意です。アカリタッチ乳剤という農薬を使用して駆除できます。

有機栽培のきゅうりを選ぶべきなの?

農薬の心配がないきゅうりを選びたいなら、有機栽培されたものがおすすめです。厚生労働省が厳しい基準を決め、登録認証機関の検査をクリアした農家のみが「有機JASマーク」の表示を許可されます。

農薬の量を減らして農作物を作る減農薬栽培と違い、化学合成された肥料や農薬を一切使わないので安心です。有機栽培のきゅうりが欲しい場合は、有機JASマークを目印にするとよいでしょう。

有機栽培のきゅうりと通常のきゅうりの価格の違い

有機栽培のきゅうりは1本100円前後で販売されています。一方で通常のきゅうりは1本40円前後で販売されており、その価格差は2.5倍ほど。さらに安いところであれば1本20円程度の値が付けられていることも。

有機栽培には手間暇がかかるので、どうしても単価が上がってしまいます。また生産数自体も少ないため、必ず手に入るというわ訳ではありません。どうしても欲しかったら、見つければすぐに購入するべきです。

有機栽培にも農薬が使われている?

有機栽培には化学合成された肥料や農薬は使用できませんが、天然成分の肥料や農薬なら使用可能です。有機JASマークが付いているからといって、洗わないで使えるという訳ではありません。

天然成分の農薬は化学合成されたものよりも安全とはいえ、殺菌・殺虫があります。きゅうりが有機栽培や通常栽培のものでも、きれいに洗うことが必要です。

きゅうりに残った農薬の洗浄方法

残留農薬は口に入れても問題ないと言われていますが、スーパーの売場に陳列される際にはすでに役目を終えています。つまり除去しても問題がありません。

残留農薬がどうしても気になる方、有機野菜に手を出すには少々ハードルが高いなと思っている方はぜひ参考にしてみてください。

水で洗い流す

流水でこすり洗いすることで、表皮に付着している農薬や殺菌剤、ダイオキシンなどを落とせると言われています。次にまな板に乗せて塩をふり、軽く転がすように板ずりしましょう。

塩でキュウリに傷がつき、表皮の下に染み込んでいた殺菌剤も取り除けます。あとは、流水で洗って塩を落せば完了です。

皮をむく

きゅうりのような皮のある野菜は、皮をむくだけで農薬を除去できます。皮のある野菜は、「皮の部分」に多くの栄養素がある場合が多いのだそう。

皮の栄養素を摂りたい場合は、表面をしっかりと水洗いして農薬を落としてから食べてください。

水素水で農薬を取り除くという方法も

水素はもっとも小さい分子です。そのため水素水は浸透力が非常に高く、野菜などの内部の奥深くにある農薬を排出してくれる効果に期待できます。

方法はとても簡単で、水素水に野菜などを漬け込むだけです。農薬が取り除かれるとえぐみが消え野菜本来の甘味が出てくると言われているのです。

また、飲料水としても利用できるため、農薬用洗剤のように誤って口にしてしまうという心配もないので、小さなお子さんがいる家庭向けと言えるでしょう。

水素水の農薬除去について
詳しく知りたい方はコチラ

新鮮なきゅうりの選び方

  • イボイボをチェックしましょう

キュウリは形で味には影響しません。重要なのは表面のイボイボがしっかりしているかです。素手で触って痛いぐらいのものが新鮮な証拠。イボイボを目安に選べば、きゅうり本来のみずみずしさを味わえます。

  • 太さは一定のものを選びましょう

キュウリの形は気にしなくても良いですが、太さは気にしてください。太すぎると味に影響する可能性があります。500円玉の直径より太いものや、太さにバラつきがあるものは避けましょう。

  • 濃い緑色のものを選びましょう

皮の表面の色にムラがなく濃い緑色のキュウリは良く育った証拠です。色がまばらだったり、薄かったりするため、見た目で分かりやすいです。

  • ヘタの切り口も確認しましょう

鮮度の目安としてヘタの切り口を確認してください。へたの部分が傷んでいるものは、鮮度が低い可能性があるので避けたほうが良いでしょう。

※水素水の農薬洗浄試験で実証されているのはクロロタロニルという農薬です。