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お米

稲の安定収穫には農薬が必要

お米のイラスト

最近は、無農薬米や減農薬米が登場していますが、稲は害虫の影響を非常に受けやすい作物なので、安定した収穫量を確保するためには農薬に頼らざるを得ません。

水田に水が張られる時期から稲を狙う病害虫が増え、発生状況が稲の生育や収穫量に大きな影響を及ぼすことが多いからです。

特に、水稲に大きな被害をもたらすいもち病は、被害が拡大すると収穫すらできなくなります。こうなると農家は収入が得られなくなりますから、病害虫の防除はぬかりなく行っておきたいのです。

日本のお米は危険?安全?

食べて害が出るほどの残留農薬はない

稲にまかれた農薬の多くは空気中に蒸発し、日光や水、空気中の酵素により自然に分解されていきます。

それでも分解されなかった農薬は稲に残りますが、日本では農薬の毒性や環境への影響について試験を行い、長期間摂っても害のない使用量と使用方法を定めています。

決められた使用方法を守っていれば、害が出るほどの農薬が残らないようになっているのです。

毎日食べ続けても大丈夫

残留農薬の量も食品衛生法で定められており、仮に基準値の最大値まで残留農薬が検出された米を、日本人の1日平均摂取量の100倍くらいの量を毎日食べ続けても健康に影響が出ない値です。

しかし基準値自体は緩いのが現状

とはいえ、日本はEU等と比べると農薬の使用量の基準が緩いのが現状です。稲作に使われる農薬はたくさんの種類がありますが、諸外国の基準をはるかに上回る基準値が設定されているものもあります。

日本の基準値 (mg/kg) 0.1
香港の基準値 (mg/kg) 0.1
台湾の基準値 (mg/kg) 0.1
韓国の基準値 (mg/kg) 0.05
中国の基準値 (mg/kg) 基準値なし
シンガポールの基準値 (mg/kg) 0.2
マレーシアの基準値 (mg/kg) 0.05
インドネシアの基準値 (mg/kg) 0.1
タイの基準値 (mg/kg) 0.1
ベトナムの基準値 (mg/kg) 0.1
米国の基準値 (mg/kg) 0.5
カナダ オーストラリアの基準値 (mg/kg) 0.1
ニュージーランドの基準値 (mg/kg) 0.1
EUの基準値 (mg/kg) 0.1
ロシアの基準値 (mg/kg) 2.0
UAEの基準値 (mg/kg) 0.1
サウジアラビアの基準値 (mg/kg) 0.1

お米に使われる農薬、ネオニコチノイドとは?

ネオニコチノイドは1990年代に開発された農薬です。当時は有機リン系の農薬がメインで利用されており、人体への影響が懸念されていました。しかしネオニコチノイドは人だけでなく動物への毒性がより低くなり、夢の農薬とも言われたこともあります。

昆虫の神経にのみ作用するという効果があり、安全な農薬として世界中に広まるようになりました。ネオニコチノイドは浸透性の農薬です。浸透性の農薬は、薬剤が茎、葉、根といったあらゆる組織に染み込み、どの部分を虫が食べても殺虫効果を発揮させることが可能です。

農薬を散布する必要もなく、生産者にとってもメリットが多いのです。しかしこの浸透性の農薬というのはいくら洗っても農薬を落とすことが不可能というデメリットもあるのです。

ミツバチにも影響が!ヨーロッパでは使用制限も

ネオニコチノイドはメリットの多い農薬として世界中で広まりましたが、同時にミツバチの姿が消えるという現象も引き起こしました。ミツバチはハチミツを作るだけでなく、様々な植物、果実などの交配に深く関わっています。

散布型の農薬が利用されていた頃はミツバチの活動時期と散布の時期をずらすことができましたが、浸透型のネオニコチノイドではそのようなこともできません。ミツバチの減少を懸念したヨーロッパ諸国は、いち早くネオニコチノイドの使用制限を法律で決定しました。

日本でもミツバチの失踪、大量死は報告されていますが、農薬との因果関係が認められないという理由からまだネオニコチノイドは規制されていません。それどころか規制緩和が進み、現在ネオニコチノイドの残留基準値はEUの基準と比較して数十倍から数百倍にも登っています。

お米を育てるのに重要な水にも農薬が!

ネオニコチノイドなどの農薬は水に溶けやすいという特性を持っていますこれはつまり、環境に広がりやすいという意味です。水に溶けやすい農薬は地下水にまで浸透し、お米作りにも影響を与えます。水はお米を作るのには欠かせません。

いくら無農薬でお米を作ろうとしても、近隣の田畑が農薬を使っていると農薬が浸透した水でお米を作ることになってしまうのです。農薬は田畑だけでなくゴルフ場の芝生などにも利用されているため、知らず知らずのうちに農薬の影響を受けてしまうことも多いようです。

また、実際に水道水からネオニコチノイドが検出された例もあります。しかし日本ではこれに対して対策を取るのではなく、水道水の残留基準値を引き上げるという対応を取っています。

お米だからこそ農薬には気を付けよう

お米は、日本人の食卓には欠かせない食材です。そんなお米に使用されている農薬について考えたことはありますか?

お米はどれも同じ、日本で作られているのだから安全、と考えずに、農薬を使用しているかチェックするようにしましょう。

無農薬のお米であっても農薬の影響を受けている可能性は十分にあります。しっかりと農薬除去を行い、安心安全にお米を食べられるようにしましょう。

お米についた農薬の落とし方

玄米の場合

玄米は栄養の宝庫

玄米

玄米には白米と比べてビタミンやミネラル、食物繊維が豊富に含まれています。人が健康を保つために必要だとされる栄養素がつまった優秀な食べ物です。また、ダイエット効果があるとして話題になっています。

玄米は収穫した状態の「もみ」から、「もみ殻」を取り除いただけのお米です。精米されいないので、糠(ぬか)に含まれる栄養素が豊富に残っています。しかし、稲を育てるためには農薬を使用するのが一般的。気になるのは、残留農薬です。田んぼだけでなく、稲穂にも農薬を散布するので、糠にも農薬が残留していると考えられます。

玄米を安全に食べるためには、しっかりと残留農薬を落とさなければなりません。洗い方を習得して残留農薬を取り除きましょう。

玄米は「浸水」することで残留農薬を除去できる

玄米の農薬の落とし方には「浸水」という方法を使います。玄米や白米を炊くときに使われる手法で、残留農薬を除去することにも有効です。水に浸けておくことで、農薬が溶けだし玄米に付着している残留農薬を除去できます。

残留農薬を除去するための玄米の洗い方

玄米を洗うためのきれいな水を用意します。水道水でも問題ありませんが、ミネラルウォーターやウォーターサーバーの水などがおすすめです。用意した水を火にかけ、40度ほどに温めます。温めている間に、玄米を流水で洗いましょう。ゴミが入り込んでいる場合があるので、しっかり確認しながら洗い流します。このとき、手で玄米を手のひらですり合わせることで、表面にキズが付き水を浸透させやすくすることが可能です。

玄米を鍋に投入し、用意した40度のぬるま湯を鍋の半分くらいまで入れます。4~6時間ほど浸けておきます。また、雑菌の繁殖を抑えるために蓋つきの鍋を用意してください。

浸水が済んだら、農薬が溶けだした水を捨てましょう。その後、ザルに玄米に移して流出で洗い流します。この方法で残留農薬を除去可能です。

また、玄米を水に浸けておくことで残留農薬を除去する以外にもメリットがあります。玄米は米糠に覆われているので、白米を洗うような方法では水が浸透せず硬い食感が残ってしまうのです。水に浸けておくことで、米粒の中まで水が浸透し、焚き上がりがやわらかくなります。

さらに稲の種としても使用できる玄米を水に浸けおけば「発芽米」という状態になります。発芽米は玄米の状態よりも栄養価が高いといわれており、玄米の栄養価を最大限引き出すのに有効です。

玄米を浸水する場合の注意点

玄米を水に浸けると発芽米になるための「発芽モード」になります。発芽する環境は水温が関係しており、水温が低いと発芽に時間がかかってしまうのです。ベストな温度は32度といわれているので、30度前後を保てるようにしましょう。水温が高い状態が続くと雑菌が繁殖する原因になるので、数時間おきに新しい水と入れ替えてください。

白米の場合

水洗いである程度落とすことは可能

農薬の約80%が玄米に付着しているため、精米した白米には全体の20%ほどの農薬が残っています。しっかりとお米を洗い、30~40分浸けることで残留農薬を落とすことが可能です。

水素水を利用して洗う

手っ取り早い方法として、おすすめしたいのが水素水という方法です。水素は地球上の分子の中でもっとも小さい元素。浸透力がとても高く、お米はもちろん、野菜や果物の奥深くに付着している残留農薬を排出してくれるといわれています。

効率的に落とすには水素水がおすすめ?

水道水だけでは完全に農薬を除去することができません。とはいえ、野菜専用の洗剤をお米に使うのは、どこか気が引けますよね。農薬は悪者というわけではなく、洗い方さえしっかりすれば落とせます。

水素水はもともと飲料水として使用するものなので、口に入れても安心です。しかも、浸けておくだけでいいので、手間もかかりません。面倒な手順は省いて気軽に残留農薬を除去したい方は、水素水を使った方法から始めてはいかがでしょうか?

※水素水の農薬洗浄試験で実証されているのはクロロタロニルという農薬です。

農薬を落とす洗剤を使う

野菜の農薬を落とすための洗剤は、今ではスーパーなどでも販売されています。これをお米にも同じように使うことで、農薬を取り除くことが可能になります。お米を研ぐ前にお米と水を入れたボウルにこの洗剤も入れて、数十秒放置します。

その後はいつも通りにお米を研いでいきましょう。農薬を除去する洗剤は、放射性物質を除去できる、食中毒菌も除去できる、口に入っても安全という特徴があります。お米以外の野菜の農薬も気になるという方は、持っておいて損はないでしょう。

数回精米機にかける

精米機があるという方は、お米を精米機にかけてみましょう。数回精米を繰り返すことで、お米についた農薬をかなり落とすことができます。

精米はお米を削ることになりますので、精米機にかければかけるほどお米の量は少なくなってしまいます。しかし、無農薬のお米を買うよりも経済的ですし、気軽に行うことができます。無人の精米機などが設置されているところもありますので、お米を購入した際は精米も同時に行うようにするといいでしょう。

調理用の重曹で洗う

料理や掃除の際によく利用される重曹で洗うという方法もあります。調理用の重曹は体内に取り入れても害はありません。農薬を落とすだけといっても洗剤を使うのは…と抵抗のある方は、重曹を使ってみるといいでしょう。

お米、水に重曹を加え、30秒から1分ほど放置していつもの通りよくすすぎます。水で洗うよりもよく農薬を落とすことができ、さらに体内に取り入れても大丈夫。しかし重曹によってしっかり農薬が落ちているのかを確認する科学的な調査は行われていないのがデメリットとなっています。