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妊娠中に農薬付きの野菜を口にしても大丈夫?

母体・胎児への影響

妊婦さんの画像

妊娠中の食べ物は今まで以上に気をつかい、できるだけ安心で安全の食材を口にしたいと思っているのではないでしょうか。

そこで気になるのが野菜や果物に残った、いわゆる残留農薬の存在。果たして残留農薬は体や胎児に影響があるのでしょうか。

ネオニコチノイド系の農薬が胎児に影響?

特に胎児への影響として名前があがるのが、ネオニコチノイド系の農薬。ネオニコチノイド系の農薬は、タバコのニコチンに似た成分(ニコチノイド)がベースとなった殺虫剤で、日本では主に水稲のカメムシ防除に使われています。

このネオニコチノイド系の農薬が付着した野菜や果物を、妊婦さんが摂取すると、母体の胎児に影響を及ぼし発達障害になる可能性があると言われているのです。

ネオニコチノイドが有名になったミツバチの大量死

このネオニコチノイド系の農薬が危険視されるきっかけとなったのが、1990年代はじめ頃に世界各地でミツバチが大量死および、大量失踪した事件です。

ネオニコチノイドを含んだ花の密を吸ったミツバチが、農薬の影響を受け、死亡もしくは自分の巣がどこにあるか分からなくなってしまったというのです。

このことを受け、EUでは2013年ネオニコチノイド系の農薬のうち、3種類の使用を禁止しました。また、アメリカでは4種類のネオニコチノイド系の農薬の、新たな使用方法を承認しないと決定しています。

しかし日本ではまだ使用を禁止されていないのが実情です。

研究発表で異なる見解が…

ハーバード大学の研究発表

2010年、アメリカのハーバード大学の研究チームが低濃度の有機リン系農薬を摂取した子どもは、注意欠陥やADHD(多動性障害)になりやすいと発表しました。

東京大学大学院の研究発表

しかし一方で、2017年東京大学の研究チームが、胎児期のネオニコチノイドの曝露と出生後の発達および自閉症傾向との関連について調査し、現時点でのネオニコチノイドの曝露状況の下、疫学的には影響がないという論文を発表しています。

このように、研究発表でも意見の食い違いが見られているので、果たしてどちらを信じていいか分からないですよね?

日本の検査体制はどうなってる?

日本では、農薬を登録する際にいくつもの検査や動物試験を経て、安全性が認められたものが登録されます。

試験では、妊娠した動物が農薬の入ったエサを食べた場合に胎児への影響がないかを調べたり、残留農薬を摂取した母親・父親が子供を妊娠、出産するときに有害な影響がないか、孫の世代に影響がないかなどを調べたりします。

農薬の試験では、親世代はもちろん、子世代、孫世代が離乳するまで検査が行われます。投与量も3段階に分け、投与期間についても厳格な基準が設けられています。

母乳への影響は?

現在製造・販売が中止されているDDTが問題視されていた

かつて、DDTという農薬が使用されていました。しかしのちに発ガン性があると報告があり、現在は製造と使用が中止されています。

このDDTのやっかいなところは、体内で蓄積される特徴があるところ。食物連鎖により、DDTの付いた農作物を食べた虫から鳥へ、鳥から人へと流れていってしまい、濃縮されたDDTを人は摂取しまっていたのです。

その結果、DDTを摂取した母親の脂肪に蓄積され、母乳として赤ちゃんに与えられてしまったのです。

現在使われている農薬は母乳に影響はない!

農薬が母乳に影響するのではと考える人が多いのはこの影響が考えられます。しかし現在の農薬は、体内で蓄積されないものを使用しており、もちろん母乳への影響もありません。

出荷時にはほとんどの農薬は残っていない

農薬の扱いに関しては、「農薬取締法」という法律によって、作物ごとに使ってよい時期や量などが決められています。

また、作物の根っ子に対して使用する農薬を除けば、基本的に散布した薬品は雨や地中に存在する微生物、作物自身の代謝等によってどんどん減少していきます。そのため、農薬を使って作物を育てていても、出荷までに農薬のほとんどの成分は減少、またはなくなっているのです。

実際、農林水産省が行った残留実態調査によれば、4,737の作物のうち、基準値以上の農薬が検出されたのはたったの一件だけ。約85%の作物からは、農薬が見つかりませんでした。

食べ物から取り込む農薬の量は非常に少ない

免疫力も体も弱い赤ちゃんの健康を考える上で、農薬付き野菜の影響を心配するのは当たり前のことです。しかし、厚生労働省の発表によれば、日常生活で1日に摂取する平均的な農薬の量は、健康に問題がないことを確認されている量(ADI)の0.009%~2.8%程度だとされています。

たとえ農薬でも、ほんの微量なら人体にはほとんど影響がありません。塩や醤油などの食品が、適量なら料理の味付けに役立ち、摂りすぎると体によくないのと同じです。

市販されているものなら海外産の作物でも安全性は高い

海外から日本へ輸入されてくる食品は、港や空港に届いた時点で書面でのチェックと実物を使ったチェックを行われます。検疫等の届け出に問題があったり、明らかに農薬の残留量が多かったりする食品に関しては、そもそも日本国内では出回らないようになっているのです。

また、チェックを通ってスーパー等で販売されている商品も、ランダムで各地の保健所が検査を行っています。国産に比べると農薬が残っている割合は高いものの、一般的な食料品店で販売されているものであれば、授乳中でも安心して食べられるのです。

農薬除去のすすめ

残留農薬の基準は定められており、市販の野菜や果物を食べても、母体や胎児には影響はないとしています。しかしハーバード大学の発表があることもあり、農薬に対して不安になってしまいますよね?

それならば、農薬を除去してしまうのが1番。農薬は野菜や果物の育成を終えたら役目を終えていますので、きれいサッパリ除去してしまい、心身ともに健康になりましょう。

水洗いで除去

水洗いは農薬除去では1番ポピュラーな方法です。しかし、農薬の中には水に溶けにくいものもあるのできれいに取り除くことはできません。

また、野菜1つにつき30秒以上洗わなくてはならないので、妊娠中・子育て中に毎日行うのは負担ですよね。

野菜用洗剤で除去

食器用洗剤の中には野菜洗いに使用できるものがあります。洗剤の「用途」欄に記載があるので、確認してみると良いでしょう。

また、農薬除去専用のホタテパウダーを使用した洗剤もあるので、そちらもチェックしてみると良いでしょう。

しかし、洗剤に抵抗がある方も多いと思います。実際、洗剤には口にした場合の注意点も書かれているので、農薬を除去したあとしっかりと洗浄しなくてはなりません。

注目は水素水による農薬除去

絹さやを水素水に浸けている画像

農薬除去で現在注目されているのが「水素水」。水素水の浸透力と還元力により、野菜の表面に付着した農薬を取り除いてくれるのです。

また、水素水は普通に飲水として利用できるので、野菜洗剤などに懸念される誤飲の可能性や洗い流す手間もありません。

水素水による農薬除去について詳しく見る

※農薬洗浄試験で実証されているのはクロロタロニルという農薬です。

赤ちゃんは農薬を口にしても大丈夫?

一般的な食品には、微量の農薬しか含まれていません。また、農薬は調理によって落とすことも可能です。ただ、赤ちゃんは離乳食や果物から農薬を口にしても大丈夫なのでしょうか。ここでは、農薬が赤ちゃんへ与える影響を紹介します。

赤ちゃんが農薬を口にすることの危険性について詳しく見る

■参考サイト 農林水産省: 農薬の審査報告書

■参考サイト 農林水産省: 農薬による蜜蜂の危害を防止するための我が国の取組

■参考文献 PDF:胎児期ネオニコチノイド系農薬曝露と小児期の発達及び自閉症傾向との関連

■参考書 寺岡徹 監修(2014)『図解でようわかる農薬の基本』誠文堂新光社.