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残留農薬の基準は、食品衛生法第7条で定められています。
農作物に残留する農薬の最大上限を定めたもので、通常は、1kgあたりの農作物に残留する農薬の限度をmgとして、「ppm(百万分の1の単位)」で表します。この限度は、動物を用いた毒性試験の結果に基づき、食品安全委員会がリスク評価を行い、決めたものです。
農薬ごとに、健康への悪影響がないとされる「1日あたりの摂取許容量(ADI)」と、短期的な摂取をして問題がないとされる「急性参照用量(ARfD)」が設定されています。
基準を超えた農薬が残留している農作物は、国産品・輸入品を問わず、流通や販売が禁止されています。
国内で流通する農作物は、自治体が市場などに流通している食品を用いて検査をしています。
輸入品については輸入の際に検疫所への届け出が必要となり、輸入食品監視指導計画に基づいてモニタリング検査を行っています。違反があった場合は検査を行う頻度を高めたり、違反性の高い食品に対しては、輸入の度に検査を行ったりしています。
残留農薬の基準を定める考え方については、国際的に共通しています。しかし、食品ごとの基準は、それぞれの国の判断によって異なるため、基準値はまちまちです。それは、国ごとに気候風土や害虫の種類などに違いがあり、農薬の使用方法や検査部位が異なるためです。
例えば、ブルーベリーやアーモンドは日本の基準値が国際基準よりも厳しく、ブドウやブロッコリー、マンゴーなどは日本の基準値が国際基準よりも緩い数値が適用されています。
このように、日本の基準が厳しい場合もあれば、他の国の基準の方が厳しい場合もあるので、一概にどの国が厳しいとは言えません。
私たち日本人は国産農産物の安全神話を信じていますが、実は諸外国で禁止されている農薬が使われているケースもあります。なかにはドーピング違反にあたる可能性が指摘される農薬を使った食品もあり、海外のアスリートはドーピング違反を恐れ、自分で野菜を持ち込み、日本の野菜を食べない選手もいるそうです。
このような状況を受け、東京五輪に向けて日本でも残留農薬の表示を義務化する必要がある、との声が高まっています。
■参考サイト 厚生労働省: 残留農薬