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農薬の種類のひとつに展着剤というものがあります。これは、農作物の表面に対して、農薬の付着性を高めるために用います。
多くの野菜や果物は、表面がワックスのようにツルツルとしています。
そのため、農薬を散布しても葉や茎の上で弾かれてしまいます。また、植物の表面に生えている細かい産毛のような毛や、農作物の敵である害虫の体も農薬を弾いてしまう性質があります。この問題を解決するために使うのが展着剤です。
展着剤を使うと、農作物の表面上のワックスと馴染み、農薬の表面張力を下げて、農薬がより広い面積に行き渡ります。そのため、効果を安定させることができます。
展着剤は日本で76種類が認定されています。主成分は界面活性剤で、展着剤そのものには殺虫・殺菌作用はありません。界面活性剤は、簡単に言うと水と油の仲立ちをするような存在です。
農薬がつきにくい、ネギやキャベツ、イネなどに展着剤を使うことが推奨されています。
現在日本で使われている展着剤は、国の安全基準をクリアしたものなので、常識の範囲内で摂取する量であれば体に影響を及ぼすような害はないと考えられます。
しかし、展着剤はやはり人にとって異物であることは確かですので、できる限り除去するに越したことはありません。
展着剤は、雨にあたっても農薬が流れ落ちないように使う目的もあるため、家庭で流水洗いをしただけでは落としきれません。
展着剤にはアルカリ液に反応するタンパク質や脂質が含まれているため、メカニズムとしては、アルカリ成分を配合した野菜用洗剤や重曹などで落とせると考えられています。
展着剤に含まれるタンパク質や脂質はアルカリ液に反応し、剥離分解されます。野菜から剥がれた農薬は、アルカリ溶液の中で安定した物質になるため、野菜に再び付着することはありません。
展着剤をすっきり落としたい人は、こうした洗剤や重曹なども使ってみると良いかもしれません。
■参考サイト 日本農薬株式会社: 展着剤の役割と使い方