menu
普段、私たちが口にする野菜や果物には、多かれ少なかれ農薬が使われています。
農薬と聞くと、体に害がある、危険といったイメージが先行しますが、なぜ農薬が使われ続けているのでしょうか。それは、農薬には社会的な役割があるからです。
農業では、基本的に広い農耕地であっても1種類の農作物だけを栽培します。
トマト畑、キャベツ畑など、特定の作物を単一栽培するため、田畑に生息する植物や虫、微生物も、特定の農作物を栄養源にする種類しか残りません。そのため、害虫や雑草が発生しやすく、何もしないと害虫が発生しやすい環境になってしまいます。
また、日本は高温多湿の気候なので、もともと害虫や雑草が発生しやすいです。このため、害虫や雑草を防除するために、農薬が使われているのです。
最近は無農薬野菜や減農薬野菜が注目されていますが、安定した品質を確保するために雑草や害虫の除去を手作業で行うなど、手間暇かけて育てています。その分少量生産となり、値段も高くなります。
一方スーパーで売られるような野菜は、収穫量と品質を保つために、病害虫や雑草の防除に有効かつ経済的な農薬が必要不可欠となります。もし、農薬がなかったら、生産者は多くの作業を強いられ、大量生産は難しくなります。
例えば、除草は戦前では手取りが中心でしたが、戦後に除草剤が開発されたことで、除草にかかる時間は約1/25まで短縮されました。これにより、生産者の総労働時間が大幅に減ったのです。
生産者の負担を減らし、収入を守るためにも、農薬は必要な資材だと言えますし、安定した収穫量を確保できているおかげで、私たちは安価で購入できているのです。
害虫や雑草を防除する方法は農薬以外にもありますが、農薬は他の方法に比べて安定した効果があり、使い方も簡単です。
そのため、ここ50年以上は農業の主力となっています。農作物の中には農薬を減らしても栽培できるものもありますが、農薬を使わないと収穫まで到達できない農作物も多いのです。
農薬が収穫量に与える影響について、調査をまとめたものがあります。
1991~1992年に行われた調査によると、病害虫対策を行わずに栽培した農作物は、収穫量が大幅に減少したことが明らかになりました。桃やりんごに至っては、農薬を使わないと100%に近い確率で収穫にたどり着けません。
そのほか、りんご、きゅうり、キャベツ、なども害虫の害を受けやすく、農薬を使わないと収穫率が大幅に下がることが分かっています。このように、無農薬栽培できる農作物には限りがあるのです。
農薬を使わなくなったら生産者の負担が増えるため、多くの収穫が難しくなります。
結果として農作物が高くなり、私たちの家計を圧迫することになります。
農薬は決して「悪」ではなく、生活を維持するために必要なものです。
農薬を一切使わない野菜を摂り続けるのは、現実的ではありません。ですから、農薬とどう向き合っていくか、どうすれば残留農薬の摂取量を減らせるかなど、考え方を切り替えることも大切だと言えます。
現在日本で流通している野菜や果物は、残留農薬の基準を満たしたものになるため、食べても問題はありません。しかし目に見えないものですし、安心・安全と言われても一度気になってしまったら、その不安を払拭をするのは一苦労です。
それなら、いっそのこと付着している農薬を取ってしまえば、余計な心配をしなくて済むし、体にも安全であることは言うまでもありませんよね?
もし、農作物を口に入れることに抵抗があるかたは、ぜひ実践してみてください!