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野菜や果物を調理する際は、付着した泥汚れや残留農薬を洗い落とすなどの対策をとっていることでしょう。しかし、農作物は毎日食べるもの。微量であっても体内に摂り入れ続けるうちに蓄積されていくのではないかと心配になりますね。
実際のところ、農薬は人体に蓄積されていくのでしょうか。
結論から言うと、現在は人体に蓄積される可能性がある農薬は使われていません。
人だけでなく、環境での残留性、自然界の食物連鎖による影響など、将来的な影響を及ぼす可能性がある農薬に関しては、国際的に製造や使用が中止されています。
・消化されずに消化管を素通りして排泄
・消化管内で分解され排泄または吸収
・農薬成分が消化管から吸収され、主に肝臓で分解され、尿などと一緒に排泄
このように、仮に蓄積される可能性の高い農薬を摂ったとしても、体から排出されていくため、現在のような比較的安全性の高い農薬であれば、体内に蓄積され続ける可能性は低いと言えるでしょう。
1970年代よりも前には、体内での蓄積性が高いと問題になっていたDDTやBHCという農薬が使われていました。
1949年から1957年にかけて、アメリカ・カリフォルニア州のクリア湖にDDTに似た殺虫剤が湖水に流し込まれていた事例では、食物連鎖を通して生物濃縮されることが明らかになりました。
そして、人の母乳、さらには南極のペンギンにも蓄積が確認されるようになったのです。
この問題が農薬の開発に大きな影響を及ぼし、人体への蓄積性があるもの、生体濃縮の危険性がある農薬に関しては製造・使用が中止されるようになりました。
なお、使用禁止となったDDTやBHCなどの影響については、今も環境省により追跡調査が行われています。
調査内容は、スズキやムラサキガイを中心に魚類と貝類、カワウなどの鳥類をモニタリングするといったもの。その報告によると、1970年から1990年にかけて濃度の著しい低下がみられ、その後も低いレベルで推移していることが明らかになっています。
食の安全性が重視されている今、生産者側の意識も変わってきています。有機リン系など、残留しやすい農薬の使用量を減らしたり、毒性の低いものを少量散布したり、安全性の高い栽培を意識する傾向になっています。
現在使われている農薬が厳しい基準をクリアしているとはいえ、残留農薬は異物であることには間違いありません。体内に入る量は最小限にとどめたいですよね。
残留農薬を少しでも抑えるためには、正しい方法で洗うことが大切です。調理前の水洗いで、サッと水に通すだけという方もいるかもしれませんが、多くの場合は流水洗いを30秒くらい必要だと言われています。
現在、農薬除去の新しい方法といて注目されているのが「水素水」。水よりも農薬の洗浄力があり、口に入れても安心ということで、評判になっています。
実際に農薬除去試験を行い、エビデンスも取得している企業もあるので、安心・安全に農薬を落としたいという方は試してみるのも良いでしょう。
※農薬洗浄試験で実証されているのはクロロタロニルという農薬です。
■参考サイト 農林水産省: 農薬の審査報告書
■参考サイト 環境省:平成29年度版 化学物質と環境