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現在の日本では、農家などが購入できる農薬が残留することでの胎児への影響は少ないと考えられています。それは農薬を販売する際に、農林水産省にて登録する必要があるためです。
農薬を登録する際には人体への影響を懸念し、農薬の残留量や長期間摂取した際の体への影響などを様々な試験で調査します。そのなかには胎児への影響である催奇形性、DNAへ影響のある変異原性に関する試験なども含まれます。約18種類の試験結果ですべて安全とされなければ、農薬を登録することはできません。
こうした農薬の基準値を定め登録制度を設けていても、それを使用する農家が正しく使わなければ、食品に残留農薬が発生する可能性があります。そのため日本では農産物や畜水産物に加えて加工食品、またこれらの輸入品などの残留農薬の検査を行っているのです。
平成27年の検査では検査全体のうち規定の数値を超えている残留農薬が発見されたのが0.008%となっています。
この数字を見ると高い数値ではないのですが、0%ではなく、またすべての流通している食品を検査できているわけではないことに注意しなければいけません。絶対に安全であるとはいいきれない現状なのです。
残留農薬の胎児への影響は因果関係の証明が難しいため人体の報告がありませんが、農薬の人体への影響として海外の症例を参考にすることができます。
フィリピンで2002年に報告されたものでは、従来の農薬使用の農家が農薬以外の害虫駆除方法を採用している総合防除型の農家と比較した際に、流産の数が6倍であったという事例があります。
他の例として挙げられるのは2004年のメキシコの報告では母体の中で胎児の成長が遅れる子宮内成長遅延群が多く見られた等です。
こうした海外の報告は、残留農薬ではなく農家が直接農薬に関わることで発生する農業農薬暴露の症例のため、妊婦が残留農薬を摂取する影響とはまた異なりますが、危険にさらされる可能性があります。